「山吹散るか 滝の音」
- atsux.
- 4月28日
- 読了時間: 2分
更新日:6 日前
「日本語オンラインクラス散歩道」ブログ 25.5-⑥
こんにちは。
「日本語オンラインクラス散歩道」のブログへようこそ。
新緑が目に鮮やかな季節となりました。先日、近所を散歩していて、山吹(ヤマブキ)の花が咲いているのを見つけ、ふと松尾芭蕉 (1644~1694) の句を思い浮かべました。
特に俳句好きではない人も、この句には見覚えがあるか、あるいは諳んじたことがある句だと言えるのではないでしょうか。
ほろほろと 山吹散るか 滝の音
連続する滝の音が、人里を離れた山峡を連想させ、心を清めてくれるような清涼感をもたらしています。傍らでは、鮮やかな黄色の山吹の花びらが、ほろほろとゆるやかな曲線を描きながら散っています。地面に散っている情景描写と見えて、実は心の中に散っている山吹の描写なのかもしれません。「山吹散るか」の「か」は深い詠嘆を表しています。岩に砕けて流れ落ちる滝のスピード感と、花びらがゆったりと散るタイム感覚の対比も絶妙です。
実際に滝と山吹のあるこの句の情景に出会うことは、ほとんどないかもしれません。しかし、この句を諳んじると、心の中にその景色が鮮やかに浮かび上がってきます。
散る山吹は、過ぎゆく季節のほんのりとした寂しさを感じさせます。しかし山吹色という色の名前にもなっている黄色は実に鮮やかで、黄金にも負けない輝きをもっていることに気づきます。
散歩は健康のため、ただ歩くのを楽しむようにしていますが、つい、山吹を見つけては、こんなことを考えてしまうのは、七五調のリズムで育ってきた日本人に染み付いた特徴なのでしょう。
皆さんの心に響く自然の情景や、好きな俳句や詩はありますか?ぜひ教えてください。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。

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